MIMOTOブレスレット製作秘話『製作への道のり』② ステンレス

宝飾アクセサリーとして、プラチナや金、シルバー、真鍮等は扱ってきました。MIMOTOブレスレット製作に当たり、肌に最も触れる面積の多い腕時計の外装部分に最も採用されている「ステンレス鋼」に目を向ける必要がありました。

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ステンレスの種類

一口に「ステンレス」と言ってもその配合により非常に多くの種類があります。ステンレスとは50%以上の鉄が主成分で、クロムなどを10.5%以上含む素材。製品に使われるのは「430」や「304」というものが主流です。ステンレスの存在意義を簡単に説明するなら、「錆びる」という弱点のある鉄にクロムなどを混ぜることによって錆びにくくしたという点です。

特定の種類を指す時には「316L」のように数字やアルファベットなどを織り交ぜて表現される名称を使う必要があります。「304」「316L」「904L」などの名称=種類の事です。

時計業界で一般的に採用されるステンレスは「304」という種類です。そして、私たちの身の回りにあるキッチンシンクや窓枠にも「304」ステンレスが使われています。それと同じ種類のステンレスが時計に使われているということです。

しかし、ブライトリングやパネライ、ゼニスなどのスイスの一流メーカーはより耐蝕性のある「316L」という高級ステンレスを主に使っています。前述した「304」に「モリブデン」という物質が加わった素材が「316」であり、それに炭素量を減らし更にバージョンアップさせたものがより錆びにくい「316L」です。メスなどの医療用品で使われ、サージカルステンレスとも呼ばれます。

 ロレックスが採用する「904L」

ロレックスは「316L」よりも更に耐蝕性の高い超高級ステンレスである「904L」を採用しています。時計の外装素材にスーパーステンレスと呼ばれる「904L」を採用することは超絶な事で、ロレックスの価値の高さもうなずけます。

「904L」は本来、化学産業分野で使われていた究極の「スーパーステンレス」です。90年代頭ぐらいからロレックスが時計業界で初めて採用したと言われています。

904Lは316Lと比べ「クロム:18%→19~23%」「ニッケル:12%→23~28%」「モリブデン:2.5%→4.5%」とさらに鉄の比率は低くなっており、また低炭素化により海水や硫酸、塩酸への高い耐性を実現しています。

最近ではロレックス以外のメーカーでも採用例があると聞いたことがありますが、「904L」の採用は多くの時計メーカーが真似できることではありません。資金力があり生産本数の見込めるロレックスだからこそ、採用に踏み込めたのだと思います。その根底にはサブマリーナやシードゥエラーという海水で使用することの想定があり、今ではモデル全体に採用されています。

904L

金属アレルギーに最も適しているのは「316L」

904Lは特殊性の高い高価なステンレスではありますが、ニッケル含有量が多い分、金属アレルギーの人にはおすすめできない材質でもあります。実際医療用メスは316Lを使用しています。

904L=高い材料=素晴らしいというわけでなく、どの性質を重点におくかが問題になります。

人体に最もやさしい316Lサージカルステンレス製を採択し、安心して着けられるMIMOTOブレスレットを目指していきたいと思います。

続く…

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著者情報

アーカイヴジャパン株式会社-代表取締役 中島悠輔-
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2016-03-01 | Posted in ブログNo Comments »